Sunday, October 11, 2015

[演技] tori studio で教わっていることメモ 0002



 はいはーい、みなさんお元気?火星の天然水を飲んだらどんな味がするのかを考えている塩沼哲ですよ。鉄の味でしょうか。

 さて。

 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、僕は今、tori studio (トリスタジオ) という場所で演技を学んでいます。通っているのは、週2回 (1日4時間ずつ) のベーシッククラスです。
 今回はそこで今時点までに教わっている内容を、簡単に (自分の復習も兼ねて) 書いてみようと思います。
 個人的な見解や認識の違いがあるかもしれませんので、もし間違いや修正すべき点がありましたらご指摘して下さると助かります。

 この記事が tori studio の見学や入学を考えている方の参考になれば幸いです。


1. tori studio が教える 「演技」 とは

  • 「与えられた想像上の世界で真実に行動する能力」 のこと
  • 与えられた想像上の世界: 脚本、台本等
  • その世界で真実に行動するためには何をする必要があるか


2. リラクゼーション (Relaxation)
  • 心、身体、マインドを開放する
  • エネルギーを高める
  • 俳優としての準備と確認


3. センソリー (Sensory)
  • 想像上の場所や人物、状態などをリアルに体験する
  • 頭で考える (イマジネーション) のではなく、五感をフルに使う
  • 感じていることを音にして出す


4. レペテション (Repetition)
  • 相手の言葉を繰り返す訓練
  • 言葉の制限の中でのコミュニケーション
  • 頭を働かせない、衝動でやり取りする
  • 言葉の意味をもたない衝動のキャッチボール
  • 3つのC:: Contact, Connect、Communicate
  • その瞬間にのみ生きる
  • 相手に興味を持つ
  • 全て相手次第
  • 100%確かなものを言う
  • 個人的に聞く (言われているのは自分である)
  • 言葉は変わるもの (変えるものではない)
  • 言葉が変わる4つの要素: ① Behavior (相手の様子・ふるまい)、② Point of View (自分が感じるもの)、③ Honest Answer (正直な答え)、④ Pile Up (意味を組み上げる)


5. アクティビティー (Activity)
  • レペテションをしながら行動をする訓練
  • 行動の内容(身体的に100%の集中を要するもの)
  • 目的
  • 緊急性
  • 完璧性の基準
  • それらを具体的にしておく
  • やることを確認したら、全て捨てて、ただ行動する
  • ファーストコンタクトに命をかける


6. ドア・パーソン (Door Person)
  • アクティビティーの相手
  • 目的 (何を得にきたのか)
  • 緊急性
  • 具体的に
  • ファーストコンタクト / 相手を探検する


7. シーン (Scene)
  • 台本分析 (背景、状況、ビート、目的、障害、アクション、等)
  • 台詞はイメージを付けずフラットに覚える
  • 台詞の内容は同じでも、言い方 (抑揚や音) はその時の状況で毎回変わってくる
  • まずはセリフを頭に入れる (震度8の地震が来てもスラスラ言えるように)
  • 台詞が入っていないと頭を使ってしまうので、そこからは何も生まれない
  • 準備の時に何を選択するか
  • プランは危険、プッシュをしない (嘘になってしまうので)
  • 目的に向かう
  • 行動する
  • デスティネーション(これがあるからそこに存在できる)
  • 衝動をピックアップして、きっかけを待つ
  • 今この瞬間のみを新鮮に捉える (未来を知っていてはいけない)
  • その台詞で全てを終わらせる (常に求め続ける)
  • 4th Wall (第四の壁)
  • Moment Before (そのシーンの直前に何かをすることによって状態を高める)
  • Shock Reaction (予期せぬことに対する反応。3つくらいを確認しながら意味を積み上げていく)
  • 台本分析におけるアクションのヒント: ①具体的な関連性 (人、場所、物、出来事) ②状況 ③性格 ④サブテキスト (別の言葉で言い換えたら?) ⑤相手に何をさせたいか
  • パーソナライズ (いったん自分のものに置き換えてみて、心で理解する)


8. 感情準備 (Preparation) をしたアクティビティー
  • 内容はアクティビティーに準じるが、感情を準備してから行う
  • 最大限の感情が準備できたら、全てを捨てて、ただ行動する
  • 具体的にするのは捨てるため。捨ててもあるから大丈夫
  • 感情は作るものではない、生まれてくるもの、溢れだすもの
  • 大きな感情が生まれる (自分にとっての) ピンポイント的なものを探しておく


9. LAC (Life Alternating Circumstance)
  • 自分の人生を劇的に変える出来事
  • 感情準備をしたドア・パーソンとしての訓練
  • 直前に起きた出来事
  • 何を得にきたのか


10. その他
  • As if : まるで~のように
  • Physical Adjustment : 体の状態から内面を作る
  • Action : セリフの下の行動
  • 1~10のカウントゲーム : 1回で終わらせること、諦めないこと、信じること
  • 本 : お題に沿って前の人が考えた本の内容を繋いでいく
  • 即興 : 筋書きのない即興の演技。信じる、目的に向かう、人生がかかっている、真剣に


 思いつくままにぶわーっと書きましたが、このあたりまでが今現在までに教わってきたものです。
 クラスメートの練習内容を見ていると、感情準備がある程度できるようになった後に、再びシーン (感情準備を伴ったもの) を行うみたいです。それ以降はまだ分かりませんが、キャラクター作りや感情の抑え方、そして更にその先が待っているのだと思います。

 人それぞれがそれぞれの演技に対する考え方を持っているでしょうし、演技の訓練方法に王道や正解は無いと思いますので、tori stuido で教えているこういった方法が合う人もいれば、合わない人もいるのだと思います。tori studio 自体を肯定的に考えている人もいれば、否定的に考えている人もいることでしょう。それはそれで構わないと思います。自分に合った方法を探して、自分が信じる演技の道を進むのがやはり一番良いのです。でないと自分を否定してしまいますもんね。
 
 もし、これを読んで tori studio に興味を持たれたという人がいらっしゃいましたら、いつでもご連絡ください。見学は随時できるようですので、ご希望であれば見学の橋渡しを致します。もちろん tori studio に直接連絡を取って頂いても構いません。

 魂を揺さぶる演技。高められた現実。内面。心。感情。葛藤。そういった人間の真髄のようなものに触れた時、人々は大きな畏怖や感動を感じます。それを体験し、また会得できる場所。そのひとつが tori studio だと僕は思うのです。

 一緒に演技の勉強ができることを楽しみにしています。そして舞台や映画等で共演できることも。

 それではまたどこかで。


 参考リンク : tori studio



Monday, October 5, 2015

【小説】 バンクーバー留学物語 - 0004




[前回 0003 はこちら]


 目が覚める。

 四角い部屋の中。四角いベッドの上。クリーム色の天井。見慣れない景色。

 ・・・・・。

 ・・・・・?

 ああ・・

 そうだ。

 ここはバンクーバーなんだ。

 寝ている間にたくさんの夢を見たような気がする。どんな夢だったのかは思い出せないけど、いくつもの事が同時に起きて頭がグルグルしている感覚だった。ひとつの長い夢だったのかもしれない。何個かの夢を重ねて見たのかもしれない。色々な場面、色々な人物が次々と現れては切り替わっていった。高熱にうなされている時や、大きなイベントで脳が興奮している時に見るような、濃厚で圧縮されたグルグルした感じの夢。そんな夢だった。

 ベッドから出て、うっすらと明りの洩れる薄緑色のカーテンを開ける。道を挟んだ向かい側の建物や家が見える。その形は、ああ、なるほど、日本のものとは違って西洋的だね。まあ、そりゃそうだよなって思うけど、日本にある西洋的な家ともまた違う感じがする。もっと、そう、何と言うか、景色になじんでいる感じ。
 眼下には通りを歩いている人々の姿が見える。この部屋は2階にあるのか、と改めて実感する。道行く人たちは色とりどりのコートを着ている。寒そうだな。
 上を見上げる。綺麗な青空。その青い色の中に浮かぶ少しばかりの白い雲。
 窓を開けてみる。ひんやりとした空気が入ってくる。やっぱり寒い。

 今日はリチャードとジョニーがバンクーバー市内を案内してくれるって言っていた。楽しみだ。
 初めて訪れる街。初めて出会う人々。美しい朝。美しい街。語学留学。カナダ。バンクーバー。これからの3週間。本当に本当にワクワクする。

 さてと、それではまず朝食を食べに行こう。

 キッチンに行く。良い匂いがする。リチャードとジョニーが既にテーブルに座っている。ホストマザーのジェニーは流し台の近くに立ってソーセージを焼いている。
 みんなに「おはよう」を言って僕も椅子に座る。ん?あれ?そう言えば、なんでジョニーがこんな早い時間にいるんだろう。彼はこの家に泊まったのか?
 ファーストフードでアルバイトをしているという長女のエミリーは今朝も姿が見えない。家に帰って来なかったのだろうか。どういう感じの子なのだろう。気になるよね。てか、ホームステイ先の家に20代の女性が住んでいるなんて、ちょっとドキドキするじゃんね。これって、あれでしょ?出会った当初は留学生とそのホストファミリーのひとりとして普通に接していたふたりであったが、ひとつ屋根の下、一緒に食事をしたり遊びに行ったりしているうちに相手のことが少しずつ気になっていることに気付く。いつしかふたりはお互いを意識し合うようになり・・ そして・・ そして・・ っていう、あれだ。むふふ。
 でもまあ、そういのって、あれだよね。あれあれうるさいかもだけど、妄想だ。実際は小説とかドラマの中でしか起こり得ないんだろうね。
 あ、そうそう、昨日も言ったような気がするけど、僕は他に気になっている女性がいる。カナダ人でも日本人でもない。フィリピンに住んでいるフィリピン人の女性。実際にまだ会ったことはないんだけれども、今すぐにでも会いに行きたい女性。でもなかなかフィリピンには行けないよなーって思う。今僕はカナダにいるし、なによりも英語を勉強したいからね。なーんていう言い訳。会いに行かないことに対する言い訳。できるかもしれないのに、しないことに対する言い訳。会いに行き「たい」では、いつまで経っても会いに行けないか。ああ、彼女は今いったい何をしているのだろう。

 料理が運ばれてくる。ソーセージにハムに目玉焼き。コーンポタージュスープ。そして、平たい皿に乗ったごはん。色とりどりのサラダもある。美味しそうだ。コーヒーの芳ばしい香りもする。
 ジェーンによると、エミリーは一旦家に帰ってきたんだけど、また早朝からバイトに行ってしまったとのこと。でも今夜は会えるみたい。じゃあ、それまで楽しみにしていよう。

 料理はどれも素晴らしく美味しかった。リチャードとジョニーの喋り方は相変わらずゴニョゴニョしていて聞き取りにくいけど、昨日会ったばっかりの時に比べたら、なんとなく聞き取れているようにも感じる。少しゆっくり目に喋ってくれているのかもしれないけど、昨夜バーで色々と話をして、こういう話し方に慣れてきたのかもしれない。そう思いたい。

 食事を終えて、いったん自分の部屋に戻る。出かける準備をして、30分後にバンクーバー市内観光に出発だ。いったい彼らはバンクーバーのどの辺りを案内してくれるのだろう。シーバスとかっていう船のバスにも乗るらしい。どんな感じなのか想像もつかないけれど、楽しそうだ。とにかく全てが初体験。

 30分後。

 キッチンから続くテラスを通って外に出る。この家は通りに面しているけど、こちら側は裏側にあたる。階段を下りた先は「コ」の字型に家が並んだ20メートル四方ほどのスペースになっている。そのまま表側の通りには出ずに裏側の道を進む。
 まずは、ここウエスト・バンクーバーの海の方に行ってみようということになった。海がすぐ近にあるらしいのだ。

 紅葉がまだかなり残っている。赤、オレンジ、黄色。ひんやりとした空気。青空。街並み。とても綺麗な場所だ。

 10分くらい歩いただろうか。公園が見えてきて、その先にキラキラと輝く水面が見える。海だ。公園の先はちょっとした砂浜になっているみたい。その砂浜沿いに遊歩道があって、歩いている人や犬の散歩をしている人が見える。

 登りたての太陽の光を左手に浴びながら砂浜に向かって歩く。海が近付いてくる。太陽が左側にあるってことは、こっちの側が、、

 ぅおっと!


(つづく)


物語は事実にもとづいていますが、登場人物名・団体名は仮称です